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2018.07.17ビジネス

フォントにあったこわーい話

Old Boy
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「カネのなる木は水では育たない。汗をやらねば枯れていく」

 
中国では、このところ「フォントの著作権問題」が

 

天猫(T-mall)や淘宝(タオバオ)のプラットホームでECサイトを運営している人のもとに「北京北大方正電子有限公司」から「わが社のフォントを無断使用しているので、速やかにライセンス料を支払うように。支払わなければ提訴する」という内容の通知が届くケースが続出しているらしい

 

ECサイトなどに著作権の存在を意識せずに何気なく北京北大方正電子有限公司のフォント使ってしまっていて、ある日突然高額のライセンス料を請求され、その対応に苦慮するという内容の書き込みや、このような通知を受け取った場合にどうすべきなのか?と、いう話題が目立つようになってるらしいのです。

 

北京北大方正電子有限公司は、北京大学の研究成果を産業化する目的で、北京大学が100%出資して設立された企業でして、現在、中国語の印刷製版(DTP)システムでは世界でも80%のシェアを占めている巨大な中国語フォントベンダーです。

 

中国国家認証の標準書体を制作・販売していて、現在、中国のほとんどの新聞社、出版社、テレビ局、政府関係機関が北京北大方正電子有限公司のフォントを利用していて、Microsoft社のWindowsやApple社のMac OSにも標準搭載されております。

 

北京北大方正電子有限公司は過去にも、フォントの使用をめぐる訴訟を多く起こしてきています。

過去にこんな訴訟もありました。2008年から2011年にかけて、日用品の世界的メーカーであるP&G社との間で争われた事件です。

これはP&G社がヘアケア商品のロゴに用いた「飄柔」の書体について、北京北大方正電子有限公司が著作権法違反だとして提訴した事件でございます。たしか、この事件も二審まで争われました。また、世界的な大ヒットとなったオンラインゲーム「World of Warcraft」の中国語版に、北京北大方正電子有限公司のフォントが無断使用されているとして、ゲームメーカーのブリザードエンターテインメント社に賠償を求めた事件がありました。

 

この事件は2012年5月に最高人民法院で判決が出されたのですが、最高人民法院の下した司法判断の要点は、「文字データベースは法的性格においてコンピュータープログラムに該当する」ということと「フォントの使用は思想の表現・情報伝達の手段にすぎない場合には、そのフォントが著作権法上の美術作品に該当するか否かにかかわらず、著作権を侵害するものではない」そして「文字データベースに含まれるあらゆる文字が著作権法上の美術作品として著作権法で保護されるとは言えないが、一文字単位の著作権法上の美術作品性については個別に判断する必要がある」というものでした。細かな法律論については私なんぞに分かりませんが、結果的にはいずれの訴訟でも北京北大方正電子有限公司の訴えは認められませんでした。

 

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最高人民法院で司法判断が下されたことによって、この問題も一段落するかと思われていました。しかし、最近になって北京北大方正電子有限公司はEC業者を狙い打ちにするかのように、フォントの無断使用に厳しい態度を打ち出してきているのです。これはEC業者が急増したことと、ホームページを分析することでフォントの使用状況を把握しやすくなっていることを反映しているのかもしれません。

 

OSに標準搭載されているフォントは、それ自体を配布したり転売したりする行為は権利の侵害になるけど、ロゴのデザインに使用したりサイトでの商用利用は権利侵害にはならないだろうというのが一般的な感覚ではないでしょうか。

 

北京北大方正電子有限公司では、フォントを商用利用する場合の授権に関する方針を公表しています。それによると、自社で開発したフォント群を「フリー書体」、「基本書体」、「精選書体」の3種類に分け、それぞれのライセンス取得に関する規定を明示しています。さらに授権のタイプやその範囲に応じてライセンス取得料金が細かく規定されています。無償で使用できる「フリー書体」に分類されているのは「方正黒体」、「方正書宋」、「方正仿宋」、「方正楷体」の4種だけです。

 

そのほかの「基本書体」と「精選書体」とに分類されるフォントを商用利用する場合のライセンス取得は全て有償なので注意が必要です。Windows に標準搭載されている「微軟雅黒(Microsoft YaHei)」やMac OSに組み込まれている「蘭亭黒体(Lantinghei)」の著作権は北京北大方正電子有限公司に帰属するので、北京北大方正電子有限公司の規定が適用されるのです。微軟雅黒(Microsoft YaHei)も蘭亭黒体(Lantinghei)も「フリー書体」には分類されていないので有償でのライセンス取得が必要ですになるのだそうです。

 

北京北大方正電子有限公司は「フォントのデザインを最終成果物で商用利用する場合はライセンスの取得が必要である」という見解を打ち出しています。

 

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